名古屋地方裁判所 平成4年(わ)65号 判決 1992年6月02日
本店の所在地
愛知県豊田市高岡町松葉六〇番地四
株式会社
杉本工業
(右代表者代表取締役 杉本康彦)
本籍
愛知県岡崎市元欠町一丁目三〇番地
住居
同県豊田市平芝町五丁目一番地六
会社役員
杉本康彦
昭和一九年六月八日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官佐野仁志出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社杉本工業を罰金三、〇〇〇万円に、被告人杉本康彦を懲役一年三月にそれぞれ処する。
被告人杉本康彦につきこの裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社杉本工業は、愛知県豊田市高岡町松葉六〇番地四に本店を置き、工作機械製造、補修を目的とする資本金一、五〇〇万円の株式会社であり、被告人杉本康彦は、同会社(以下「被告会社」という)の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人杉本康彦は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注工賃を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿した上
第一 昭和六二年八月一日から同六三年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、七、八九五万七、〇七五円であり、これに対する法人税額が三、二二〇万一、九〇〇円であるのに、同年九月三〇日、愛知県岡崎市明大寺本町一丁目四六番地所在の所轄岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、六六七万三、五七五円であり、これに対する法人税額が六〇四万二、六〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額二、六一五万九、三〇〇円を免れ
第二 昭和六三年八月一日から平成元年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、一億六、五九二万五、〇五三円であり、これに対する法人税額が六、八七二万八、五〇〇円であるのに、平成元年一〇月二日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七、五二五万八、七七八円であり、これに対する法人税額が三、〇六四万八、三〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額三、八〇八万二〇〇円を免れ
第三 平成元年八月一日から同二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が、二億六、六八〇万九、九〇六円であり、これに対する法人税額が一億五八四万三、六〇〇円であるのに、同年一〇月一日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一、八四一万五、四五七円であり、これに対する法人税額が四、六四八万六、〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、正規の法人税額との差額五、九三五万七、六〇〇円を免れ
もって、いずれも不正の行為により、被告会社の法人税を免れたものである。
(証拠の標目)
判示各事実
一 被告人杉本康彦の当公判廷における供述
一 被告人杉本康彦の検察官及び大蔵事務官に対する各供述調書
一 岩村學の検察官に対する供述調書
一 井口雅子の検察事務官に対する供述調書
一 井口雅子、岩村學、三浦義光、鈴木宏二、金崎勇、荒川登美子、杉本順一、仲宗根信子の大蔵事務官に対する
各供述調書
一 大蔵事務官作成の各査察官調査書
一 登記官作成の商業登記簿謄本
判示第一の事実
一 大蔵事務官作成の証明書(検甲1号)
同 第二の事実
一 大蔵事務官作成の証明書(検甲2号)
同 第三の事実
一 大蔵事務官作成の証明書(検甲3号)
(累犯前科)
被告人杉本康彦は、昭和五八年三月一日名古屋地方裁判所岡崎支部において、道路交通法違反の罪により懲役三月に処せられ、同五九年二月八日右刑の執行を受け終ったもので、右事実は前科調書によってこれを認める。
(法令の適用)
罰条 法人税法一五九条
被告会社につき更に 同法一六四条一項
刑種の選択(被告人杉本康彦) 懲役刑
累犯の処理(被告人杉本康彦・第一の事実) 刑法五六条一項、五七条
併合罪の処理 同法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項(最も重い判示第一の罪の刑に法定加重・合算)
刑の執行猶予(被告人杉本康彦) 同法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 金田智行)